第2回 子どもの携帯電話利用を考える全国市民会議 in 奈良 実施レポート

 2011年2月26日、奈良市において、「第2回子どもの携帯電話を考える全国市民会議in奈良」が開催されました。子どもと携帯電話の問題に取り組んでいる全国のNPO団体等が集い活動報告をし合うことによって、より良い活動につなげていくことを目的としています。地元奈良県の他、警察庁やこの問題に取り組んでいる有識者も参加し、それぞれの立場から、この市民の自主的な活動をサポートしていました。「子どもたちのインターネット利用を考える研究会」としても、その活動趣旨に賛同し、今回、協賛という形で参画しました。

 

主催 ぐんま子どもセーフネット活動委員会および青少年を有害環境から守る奈良コンソーシアム
後援 奈良県
日時 平成23年2月26日(土) 13:00〜17:30
場所 奈良市中部公民館
来場 一部自治体が運営する啓発活動支援制度等により認定された市民インストラクターや、行政関係者など計100名強(全国約20自治体から参加)

 

当日の様子

講演当日写真1

 今回のホストである奈良県教委からの開会挨拶の後、基調講演として演壇に立たれたのは、子どもネット研の委員でもある下田博次・NPO法人メディア研究協会理事長です。下田先生からは、高知県内の取組みを例に挙げ、子どものインターネット利用トラブルに取り組むためには、常に現場の状況・視点を大切にする必要があるとの指摘がありました。また、警察庁が開催した幹部向け講習会でご自身が指摘されたという「携帯の問題ではなくインターネットメディアそのものをどう捉えるか」という本質的な課題にも触れられました。

 

 警察庁生活安全局少年課からは、2010年末に都道府県警が行った「販売店調査」の結果報告が為されました。十分な知識がなく質問に答えられない販売員が少なからず存在し、さらには「親の名義で契約をすればフィルタリング義務を免れることができる」との裏技?を示す販売員までいたことが紹介されました。同調査は継続的に行うこととされており、少なくとも本年内に二回目が実施されるとのことでした。

 

講演当日写真2

 各地からの取組み内容発表の先陣を切ったのは、本会議の主催者(共催)も務める「ぐんま子どもセーフネット活動委員会」でした。同委員会は、警察庁の全国販売店調査に先駆け、群馬県内の相当数の販売店調査を独自に実施、同時に他地域にも参加を呼びかけ、全国複数地域の調査結果をまとめた行動力のある団体です。
 今回は、同調査の過程で実際に販売員から受けた説明内容が報告・共有されたほか、スマートフォン用フィルタリングサービスについては、よく知られている「Wi-Fi経由での接続」の他にもフィルタリング回避策が複数存在するとの独自の検証結果が新たに示され、子どもへの本格的な普及の前にしっかりとした対策が必要ではないかとの問題提起がありました。

 これを受ける形で、子どもネット研事務局の一社でもあるネットスター株式会社からは、スマートフォンやゲーム機など、新しいインターネット接続機器のフィルタリング利用の注意点について、主に仕組み面からの解説がありました。子どもネット研からは会議の後段で、これとは別に第二期活動成果である「段階的利用モデル」のご紹介を行いました。

 

講演当日写真3

 その後、弘前大学からは、青森県内のコミュニケーションサイト監視活動を学生が交代で務め、教育委員会を通じて各学校への対処要請も行っている活動の概略が報告されました。数年に渡る活動から、季節的変動要因を把握、パトロールの人員配置等に活かしているそうです。現役大学生という「ケータイ世代」の力を生かした作業や啓発カリキュラム開発などの特徴がよく伝わってきました。

 また、広島市電子メディア協議会からは、PTA経験者が子どものネット問題への対策や啓発活動を推進するメリットとして、地域のありとあらゆる団体役職者との人脈を活用して地域に根ざした活動ができる点や、個人の背景まで推察したアドバイスができることが挙げられました。

 最後に京都市からは、ケータイ依存の危険性についても、調査・啓発に取組んでいるとの報告がありました。

 

講演当日写真4

 なお、今回の会議では、保護者向けの啓発活動の実例として、群馬県と茨城県からは「寸劇」形式の実演もありました。深刻な課題に取り組みつつも、皆さんが楽しく、創意工夫しながら活動されている様子が伝わってきました。群馬からは寸劇のほかにCM形式の啓発映像のお披露目もあり、好評を博していました。

 

 奈良コンソーシアム・宮木さんの司会ぶりも手伝って、同会議は終始リラックスした中にも熱意のあふれる雰囲気で進行しました。市民の自主的な活動を有識者や行政がバックアップしていく形は、「新しい公共」の考え方にも通じており、子どもとインターネットのような問題への取組みにも適していると言えるでしょう。保護者主体の取組みを重視する子どもネット研では、今後も今回の会議のような活動を積極的に応援していきます。

 

 

 

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