北海道北広島市内における「子どもたちの安全なインターネット利用のための地域密着型教育啓発事業」現地レポート

 子どもネット研では、2011年度の横浜市を皮切りに、2012年度は横浜市と東京都渋谷区において、児童・生徒、保護者、教職員、地域の健全育成関係者などを対象とした包括的教育啓発手法の開発・実践に取り組んできました。3年目となる本年は、新たに北海道の北広島市内でも教育実践に取り組みます。
 このページでは、北広島市内での講座の様子を現地レポートとして順次お伝えしていきます。(報告・担当講師:高橋大洋/子どもネット研事務局)

 

「子どもたちの安全なインターネット利用のための地域密着型教育啓発事業」

主催 子どもたちのインターネット利用について考える研究会
実務 ピットクルー株式会社(子どもネット研運営協力企業)
協力 北広島市立大曲中学校、大曲小学校、大曲東小学校
後援 北広島市教育委員会

 

 

第一回講座現地レポート 2013年7月8日開催

日時 2013年7月8日月曜日10時45分〜12時5分
会場 北広島市立大曲中学校体育館
参加 同校2年生のみなさん 約200名

 

講座当日写真1

 北海道札幌市のお隣、北広島市内での地域密着型教育啓発のスタートは、フレッシュな中学2年生の生徒向けの特別授業となりました。
 地域密着型教育啓発事業では、保護者など大人向けの講座を先行させ、受け止める準備が出来てから子どもたち向けの講座を実施するという流れが普通なのですが、今回の開催順序は、夏休み前のこの時期に実施しておきたいというご協力校からのご要望に合わせたものです。
 講座開催に先立つ6月上旬には、同校全学年および同じ学区内にある二つの小学校の5/6年生を対象に、家庭でのインターネット利用実態調査アンケートを実施済みでしたので、インターネット機器の所有状況、コミュニケーションサイトの利用経験などについては、おおまかに把握できていました。また、小学生から中学生になると、インターネット機器の個室への持ち込みや、就寝時の利用が急増する傾向がみられるのも気になるところでした。

 

講座当日写真2

 そこで講座では、「中学生の利用トラブルの典型的進行」とそこから得られる教訓について考えた後、「知っておくべきインターネットの四つの特性」や「トラブルを減らすために心がけたい三つのポイント」を解説し、それでもトラブルに遭った時にはどのように行動すべきかという流れとしました。最後に長時間利用についても、懸念事項や対策について考えました。
 今回の講座は、2年生の全6クラスが集まるということで、暑い中、体育館での開催となりましたが、生徒のみなさんは80分間の長丁場にも関わらず、終始真剣に講座に参加してくれました。受講者アンケートでも、今後の具体的な取り組みとして「書き込みや写真の投稿は慎重にする」「夜遅くまでの利用はやめたい」などの回答が見られ、講師の話をしっかりと受け止めてくれたことが分かりました。
 大人になったときには、インターネットを健全に活用できることが当然のように期待される世代である彼らが、周囲の大人に見守られながら、利用経験を上手に積んでいくことを楽しみにしたいと思います。

 

第二回講座現地レポート 2013年8月19日開催

日時 2013年8月19日月曜日11時〜12時
会場 北広島市立大曲中学校コンピュータ室
参加 同校教職員 約40名

 

講座当日写真3

 2年生生徒向けの特別授業を先に実施した北広島市大曲中学校でしたが、夏休み期間を利用して、今度は教職員向けの研修会を開催しました。

 

 子どもたちのインターネット問題を考える際、各学校には、「各家庭の取り組みのサポート」、「地域のペースメーカー」という、二つの役割が期待されています。そのために、教職員向け研修会では、まず、子どもとインターネット問題の構造や背景を的確に把握していただくところに重点を置いています。
 またそもそも、どの学校においても、児童生徒のインターネット利用で起きてしまったトラブルの解決を迫られる機会が増えつつあります。これらに的確かつ迅速に対処、あるいはトラブル発生を予防するためには、学区内の子どもたちの利用傾向や、人気サービスの特性を把握することが欠かせません。
 そこで今回の教職員向け研修会では、まず「子どもたちを取り巻く環境の急変」と題して全体概況をご説明した後、6月および7月に学区内保護者や同校生徒を対象に実施済みのアンケート結果を用いて、同中学校区内の子どもたちのインターネット機器保有状況や利用場所、時間帯を確認した上で、注意が必要な点を共有しました。

 

講座当日写真4

 その後「正しい理解が必要なインターネットの特性」や「理想的なデビューのあり方」についての解説を行いました。また、変化が激しい個別のサイト・サービス内容に惑わされず、構造面に着目することで、注意喚起すべき箇所が判断できるという考え方のご紹介の後では、事例として、メッセンジャーアプリを取り上げ、どのようなサービス要素で構成されているのか、なぜトラブルが起きやすいのか、についても理解を深めていただきました。
 どの地域の研修会でもお伝えしているところですが、全ての大人が子どもたちより詳しくなろうとするのは、現実的ではありません。また、問題が起きている事が周囲に見えにくいこともインターネットの難しいところです。先生方の間での協働や ヒヤリハッと事例共有の重要性を最後に確認して、密度の濃い60分間の研修会を終えました。

 

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