大人が責任を果たす社会に - 高橋 正夫
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「青少年の携帯にフィルタリングを一斉にかけるべし」という総務大臣の指導に端を発した昨年冬の騒動から早一年が経ちました。それ以来現在に至るまで、私は本研究会の他に、民間の第三者機関であるEMAや総務省をはじめとする各省庁の複数の会議体でそれぞれ理事・委員を務めることとなり、地元大分と東京を何十往復もすることとなりました。皆様もご存知のとおり、この話題は、その後「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の成立を巡る議論を経て、教育再生懇談会による「必要がない限り小中学生に携帯電話を持たせないこと、持つ場合は通話機能やGPS機能に限定したものを推進すること」という提言、EMAによる有力コミュニティサイトの健全認定など、目まぐるしく展開しながら今日に至っています。 そういった議論の中で私が残念に思うのは、ケータイを敵視する方々と自社利益を守ろうとする方々の極論が未だ続いていることです。すなわち、「小中学校生からは一律ケータイを取り上げろ」という主張と、「小学生からケータイを使わせないと適正な利用ができなくなってしまうから持たせるべきだ」という主張の対立です。果たして、どちらか一方が正解で他方が誤った意見なのでしょうか。私はこの二極化した議論には意味がないと考えています。
ほとんどの場合、ケータイは親が子どもに買い与えるものです。そして、買い与えるかどうかは、その他の日常の諸々のことと同様に、親が自分の教育方針に沿って判断するものに他なりません。小学校から持たせる親もいれば、大学生になる時に持たせる親もいるのが自然です。実際、私はいくら自分の子どもにせがまれても、大学生になるまでケータイを持たせませんでした。しかし、それを決めたのは自分であり、そう決めることは親である自分の義務であり権利です。それを国や企業が「一律」どうこうというのは、筋の違った話ではないでしょうか。 他方、キヤリアをはじめとする企業の方にもきちんと社会的な責任を自覚してもらいたいと思います。特に、子どもを意図的にターゲットとして想定していらっしゃる企業や、意図的でないにしろ利用者のかなりの部分を未成年者が占めてしまっているサービスを提供している会社には、より一層の責任を担ってもらう必要があると思っています。この点で、「単に監視を増やしました、終わり。」で済む問題ではないと考えています。もちろん、監視を強化することは効果的な方策の一つでしょう。しかし、事故が起きたらきちんと情報開示をして、継続的に自社の提供するサービスが子どもに与える影響について検討し、一歩一歩でもいいから継続的に構造的な改良を施してほしいと思います。この約一年に渡る過程において、今や多くの保護者たちが一定程度の知識を獲得しつつあります。ポーズだけの企業がどの企業か見抜いている方々もどんどん増えているという事実を認識してほしいと思います。 これからの子どもたちはインターネットに触れずに成長することはできません。我々大人たちが、責任をもって、子どもを育てていくことが大事ですし、その姿を見て子どももまた親を見直すのではないでしょうか。お金をかけなくてもアイディア次第でできることはまだまだ無数にあると思います。真剣に、中長期的に、この課題に取組まれる企業が増えることを期待していますし、国や自治体においてもこれを支援する施策を期待しています。 |
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■高橋 正夫(たかはし・まさお) 全国高等学校PTA連合会会長 総務省「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」委員。 文部科学省「ネット安全安心全国推進会議」委員。 |

