子どもたちのインターネット利用について考える研究会、第六期活動を開始
2014.07.11
〜「オンラインコミュニケーション能力のモデル化」の提言とりまとめに着手〜
子どもたちのインターネット利用について考える研究会(座長:お茶の水女子大学 教授 坂元 章、以下「子どもネット研」)は、本日から第六期調査・研究活動を開始することをお知らせします。今期テーマを「オンラインコミュニケーション能力のモデル化」と定め、子どもたちのオンラインコミュニケーション能力の実態把握と各種インターネットサービスを利用するためにはどのような能力が求められるのか検討を進め、事業者や保護者向けの提言を、2015年3月に報告書として公開する計画です。
一般に、子どもたちのインターネット利用にあたってはその能力発達に応じて、利用させたくないサイト分野へのアクセスを制限(フィルタリング)することが欠かせないと指摘されています。子どもネット研では、第二期に子どもたちがインターネット利用を始める際の、望ましい手順や身につけるべき能力をまとめた「段階的利用モデル」を発表し、安全な利用の前提となる、子どもたちの「段階的な」ネットデビューのあり方を具体的に提案してきました。
近年、スマートフォン・タブレット端末の普及に伴い、高度なコミュニケーション能力が要求されるSNSやメッセンジャーサービスなどの利用が急速に拡大し、子どもたちの利用も当たり前となってきました。しかし、これらのサービス利用に伴い、SNSなどの公開された場でのトラブルから、利用者のみが閲覧できる原則非公開の場でのトラブルが急増するなど、子ども達のネット利用トラブル傾向にも変化が見られるようになってきています。このような状況を解決するためには、これらのサービスを利用するうえで必要なオンラインコミュニケーション能力の指標や子ども達の能力発達に応じた段階的な利用方法などの情報提供が求められています。
こうした背景から、子どもネット研では第六期テーマを「オンラインコミュニケーション能力のモデル化」と定めました。オンラインコミュニケーションで求められる能力を洗い出し、各種サービスを利用するために必要な能力や子どもたちが身につけたインターネット利用リテラシーなどを組み合わせ、各々の成長段階に合わせた具体的な「解禁」の目安となる判断基準などを整理し、保護者向けにモデルとして提供します。
また、子どもネット研では、前期に引き続き「教育啓発の評価指標モデル」と「地域密着型教育啓発事業」についても継続して調査・研究を実施する予定です。
子どもネット研では今後もこのような活動を通じ、保護者の支援のための活動を続けていきます。
子どもネット研 第六期活動および体制の概要
第六期活動期間
研究会開催:2014年7月〜2015年2月(予定)、報告書公開:2015年3月(予定)
委員(座長以下50音順・敬称略)
坂元 章(お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科 人間科学系 教授) ◎座長
井島 信枝(子どもねっと会議所 代表)
笹井 宏益(国立教育政策研究所 生涯学習政策研究部長)○座長代理
新谷 珠恵(一般社団法人 東京都小学校PTA協議会顧問)
玉田 和恵(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 情報文化学科 教授)
七海 陽(相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科 准教授)
フェロー(50音順・敬称略)
漆 紫穂子(品川女子学院 校長)
下田 博次(国立大学法人群馬大学 名誉教授)
竹島 正(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部長 同研究所自殺予防総合対策センター長)
アソシエイトフェロー(敬称略)
宮田 佳代子(フリーキャスター)
運営事務局
ヤフー株式会社 、ネットスター株式会社、アルプスシステムインテグレーション株式会社
#運営協力企業 ピットクルー株式会社
「子どもネット研」について
子どもネット研は、子どもたちのインターネット利用をより豊かで安心なものにするために、諸課題を調査・研究し、保護者や行政・業界関係者向けに整理された情報を提供するために2008年4月に設立された任意団体です。
子どもの発達や教育、メディアとの関わりに詳しい学識経験者を中心に、学校関係者や保護者が集まり、これまでに、「交流サイトなどの利用リスク」や、「子どもたちの段階的なインターネット利用デビューのあり方」、「保護者向けの教育啓発のあり方」を調査研究テーマに選び、その結果を関係者に提言しています。またPTAや地方自治体と協力し、安全利用のための教育啓発活動やその効果測定にも取り組んでいます。