第4回 子どものケータイ利用を考える全国市民ネットワーク 全国会議 広島大会 実施レポート

 2013年2月9日から10日にかけて、「第4回子どものケータイ利用を考える全国市民ネットワーク全国会議広島大会」が広島市で開催されました。これは2009年度以降、京都、奈良、東京と毎年開かれている、保護者と地方自治体による自主的な集まり「子どもの携帯電話利用を考える全国市民会議」をさらに発展させ、子どもをケータイ・ネットの害から守るために全国各地域で活躍している市民インストラクター等が一堂に会し、意見交換や情報交換等による連携促進・課題解決への方向性を探ることを趣旨として開催されているものです。今年度が通算4回目の開催となります。

 今回は、参加地域・各種団体などもさらに広がり、より充実した学習と交流、運動の運営課題にまで渡る内容など、前回にも増して広がりある大会となりました。 「子どもネット研」は、その活動趣旨に賛同する立場から、昨年度に引き続き運営への各種協力を行いました。

 

主催 子どものケータイ利用を考える全国市民ネットワーク

広島市電子メディア協議会

共催 広島市教育委員会
後援 総務省中国総合通信局
協力 子どもたちのインターネット利用について考える研究会

安心ネットづくり促進協議会

日時 2013年2月9日(土)13:00〜17:00

2月10日(日)10:00〜12:00

場所 広島市まちづくり市民交流プラザ北棟 研修室・マルチメディア室
来場 子どものインターネット利用についての教育啓発や調査活動を行う各種の団体や、地方自治体の教育委員会・青少年行政担当者など(全国17都府県から計43団体・組織)。その他、関係事業者や省庁、研究者も傍聴やゲスト参加。合計約130名。

 

当日の様子

講演当日写真1

  一日目の会議冒頭の講話では、まず総務省の徳留修氏(中国総合通信局情報通信部電気通信事業課長)から
「青少年のリテラシー向上に向けた取組について」と題して、青少年のスマートフォン利用とフィルタリングの状況と総務省としての各種取り組みについての説明がありました。

 その後、茨城県メディア教育指導員連絡会の堤千賀子会長が登壇し、「協働より多くの人へ情報を〜子ども達のネットリテラシー向上のために〜」の演題で、携帯電話の登場から始まったケータイ利用諸問題について、どの様な経緯で運動を進めてきたのかについて講演しました。それぞれの団体に立ち上げの経緯があるとしながらも、茨城県メディア教育指導員連絡会でのケースを基に、ケータイの購入権限を持っている母親(保護者)が変わらなければ解決に繋がらないという提言や、行政とのタイアップによる信用の向上についてなど、貴重な経験を元にした説明がありました。また安心ネットづくり促進協議会の利用や行政とのタイアップ、学校へ向けた協働についてのお話しがありました。

 

講演当日写真2

 休憩をはさみ、参加者が3つの会場へと分かれ、「保護者にしか言えないこと〜利用者の視点による調査・テスト〜」(発表・進行:ぐんま子どもセーフネット活動委員会)、「母親目線の啓蒙活動〜中学校熟議とコーチング演習体験〜」(発表・進行:e-Lunch)、「手作りコンテンツ作成中〜学校現場の先生とともに〜」(発表・進行:広島市電子メディア協議会)の分科会において、具体的な調査結果の発表や、実践手法の紹介・交流などが行われました。これら各分科会の中でも、各種団体や行政関係者、事業関係者の協力の姿が見られました。

 なお子どもネット研事務局では「保護者にしか言えないこと〜利用者の視点による調査・テスト〜」分科会にアドバイザーとして参加しました。こちらでは、スマートフォン向け安心サービスの比較やゲーム機の調査、市街地におけるWi‐Fi環境の調査など、幅広い内容で発表がされました。子どもネット研は現在進行中の第4期活動内容を基にアドバイザーとして意見を行い、質疑にも対応しました。

 その後再び全体会形式に戻り、各分科会の内容の報告がなされました。

 

講演当日写真3

 二日目の冒頭には、広島大学大学院総合科学研究科匹田篤准教授による基調講演が「リスクが伝わるコミュニケーションと地域社会」と題して行われました。ここではメディアコミュニケーションの話やメディアリテラシー要素の解説、地域社会とリーダーシップについてなどがわかりやすく講演されました。子どもネット研がこれまで取り組んできた、保護者向けの教育啓発の実践手法を理論的に裏付けるお話も多く、子どもネット研の事務局スタッフにとっては、大変心強い内容でもありました。

 その後に行われた弘前大学教育学部大谷良光教授による総評では、今回の大会はより楽しく雰囲気よく進行されたこと、参加団体も広がり参加者も多数であったこと、今までは中身を学習することが多かったが、今回は運動の進め方に関する分科会もあり運動体としての広がりがあったことなどを話されました。

 最後に全国市民ネットワークとして、昨年度提案のあった「活動基本方針と取り組み事項」について、再確認のための内容紹介があり、参加者からの拍手による承認を得て、二日間にわたる広島大会は盛況のうちに幕を閉じました。

 

講演当日写真4

 今回の大会は、進行の合間に行われた寸劇や「子どものケータイ利用を考える全国市民ネットワーク」の名づけの由来の説明など、参加者を飽きさせない楽しい趣向も沢山あり、回を重ねるごとに充実した大会になってきていることを実感できるものでした。

 本大会のように、保護者(利用者)の自主的な活動が、中央省庁や業界団体からの一定の独立性を保ちながら、全国で交流や連携を深め、それを各分野の専門家や行政がバックアップしていく構図は、今後のインターネットの健全な発展に欠かせない大切な要素と考えられます。子どもネット研では、今後もこのような活動を積極的に応援していきます。

 

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