子どもたちのインターネット利用について考える研究会、第四期活動を開始

2012.08.09

 

〜関係事業者や保護者向けに、スマートフォンなどで使われる「アプリ」の第三者評価のあり方を提言〜

 

 子どもたちのインターネット利用について考える研究会(座長:お茶の水女子大学 教授 坂元 章、以下「子どもネット研」)は、8月10日から第四期調査・研究活動を開始することをお知らせします。今期テーマを「アプリの第三者レイティングのあり方」と定め、子どもたちの間にも急速に普及するスマートフォンなどで利用される「アプリ」について、第三者がその内容や利用リスクの評価(レイティング)を行う際にはどのような視点が求められるのか、実態把握と検討を進め、事業者や保護者向けの提言を、2013年2月に報告書として公開する計画です。

 

 近年、スマートフォンやタブレット端末が急速に普及し、子どもたちの利用も増加しています。これらの機器で利用するアプリは、従来型の携帯電話と比べて多種多様な上、パソコン等と比べてはるかに容易に追加、利用できることが魅力の一つです。そのため、悪意をもった不正アプリはもちろん、一般的なアプリであっても、利用者がその内容や利用リスクを十分に理解せず利用するなど、アプリ利用に伴う様々なトラブルが懸念されています。

 一般に、子どもたちのインターネット利用にあたってはその能力発達に応じて、利用させたくないサイト分野へのアクセスを制限(フィルタリング)することが欠かせないと指摘されています。ただし、スマートフォンやタブレット端末での利用においては、それに加え、保護者が「アプリ利用管理」の重要性を十分に理解し、適切に利用することが強く求められています。しかし、こうした特性や、「子どもにスマートフォンを買い与える際の注意点」について、保護者向けの情報提供や教育啓発は十分とは言えません。また一般的な「アプリ利用管理サービス」では、個々のアプリの利用可否を保護者が事前に設定する必要がありますが、数十万種類ものアプリが容易に入手可能な現在、そのアプリがわが子に相応しいかどうかを、保護者が適切に判断することは容易ではありません。

 そのため、フィルタリングの様に保護者が個々のアプリについて判断する必要なく、「利用させたくないアプリを分野単位で制限する」といった保護者向けの支援サービスが求められています。その実現には信頼できる第三者が個々のアプリを評価した「アプリ評価リスト」が必要です。しかし、フィルタリングで提供されてきた「サイトの第三者評価」とは異なり、「アプリの第三者評価」は諸外国を含めてほとんど例が無く、アプリを評価する側、される側、評価結果を利用する側のいずれにとっても、より深い議論が必要な状況です。

 

 こうした背景から、子どもネット研では第四期テーマを「アプリの第三者レイティングのあり方」と定めました。アプリの第三者評価基準の策定や評価作業に求められる視点を洗い出すために、アプリ評価の実態や利用者の要望の把握に努め、委員以外の専門家の助言も得ながら、関係者の議論に役立つような提言を取りまとめ、報告書として関係事業者や保護者などに広く公開していきます。

 また、子どもネット研では、2011年に開始した「特定地域と連携した総合的な教育啓発実践」についても継続し、その対象地域を拡大していく計画です。

 

 

子どもネット研 第四期活動および体制の概要

第四期活動期間

研究会開催:2012年8月〜1月(予定)、報告書公開:2013年2月(予定)

 

委員(座長以下50音順・敬称略)

坂元 章(お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科 人間科学系 教授) ◎座長
井島 信枝(子どもねっと会議所 代表)
笹井 宏益(国立教育政策研究所 生涯学習政策研究部長)○座長代理
新谷 珠恵(一般社団法人 東京都小学校PTA協議会顧問)
玉田 和恵(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 情報文化学科 教授)
七海 陽(相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科 准教授)

 

フェロー(50音順・敬称略)

漆 紫穂子(品川女子学院 校長)
下田 博次(国立大学法人群馬大学 名誉教授)
高橋 正夫(全国高等学校PTA連合会 顧問)
竹島 正(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部長 同研究所自殺予防総合対策センター長)

 

アソシエイトフェロー(敬称略)

宮田 佳代子(フリーキャスター)

 

運営事務局

ヤフー株式会社 、ネットスター株式会社
#運営協力企業 ピットクルー株式会社
#運営協力企業 アルプスシステムインテグレーション株式会社

 

「子どもネット研」について

 子どもネット研は、子どもたちのインターネット利用をより豊かで安心なものにするために、諸課題を調査・研究し、保護者や行政・業界関係者向けに整理された情報を提供するために2008年4月に設立された任意団体です。

 

 子どもの発達や教育、メディアとの関わりに詳しい学識経験者を中心に、学校関係者や保護者が集まり、これまでに、「交流サイトなどの利用リスク」や、「子どもたちの段階的なインターネット利用デビューのあり方」、「保護者向けの教育啓発のあり方」を調査研究テーマに選び、その結果を関係者に提言しています。またPTAや地方自治体と協力し、安全利用のための教育啓発活動やその効果測定にも取り組んでいます。

 

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