第8期開始:スマホデビュー低年齢化に合わせ、保護者支援のための情報の整理に着手
2016.8.10
~第8期テーマを「低年齢の子どもとインターネット」とし、本当の注意点や望ましい対処を具体化へ~
子どもたちのインターネット利用について考える研究会(座長:お茶の水女子大学 教授 坂元 章、以下「子どもネット研」)は、本年7月より第8期の調査・研究活動を開始したことをお知らせします。乳幼児から小学生までの低年齢の子どもがスマートフォンやタブレット端末などの情報通信端末を利用する際の指針などを検討し、2017年3月に報告書を公開する予定です。
総務省情報通信政策研究所の調査※1によると「0歳から3歳児の7割近くがスマートフォンを、4割近くがタブレット端末を利用する」と、乳幼児の情報通信端末利用が当たり前になってきました。しかし、乳幼児に情報通信端末を利用させることについては、視力の低下など心身への影響や、情緒発達の面、脳への影響を心配する保護者が多く見られます。また、共働き世帯数の増加など、保護者を取り巻く子育て環境が厳しくなる一方で、いわゆる「スマホ子守り」の弊害が強く指摘されており、「情報通信端末を与えておもりをさせることに罪悪感がある」保護者が少なくない現状です。
その一方で、小学校でのプログラミング教育必修化が決まるなど、子どもと情報通信端末との関わりはどの家庭にとっても避けて通れないという状況もあります。実際に同調査においても、子どもによる情報通信端末の利用を「将来にとって必要なもの」として肯定的にとらえる保護者は8割を超えています。
乳幼児から小学生までの低年齢の子どもが情報通信端末を利用する際に想定されるリスクと、家庭での望ましい対処については、学術的な根拠に裏付けられた指針や具体的な判断材料が少なく、保護者はもちろん、小学校・幼稚園・保育園など教育関係者から整理された情報の提供が強く求められています。
子どもネット研では、これまで中高生のインターネット利用に伴う深刻なトラブルを減らすことに重点を置き、子どもの発達段階と望ましいインターネットの利用範囲の組み合わせ方を提唱するとともに、主に保護者を対象とした教育啓発の実践にも地方自治体などとの協働で取り組んできました。
今期は、乳幼児から小学生までの低年齢の子どもたちを主な対象として、メディア接触に関する学術的知見の整理を含めた文献調査や現況把握のための実態調査を行います。子育ての中でスマートフォンが果たす役割をいたずらに否定することないバランスのとれた利用のあり方や本当に注意しなければならない点、よくある場面ごとの保護者に望まれる対処などを保護者が実践しやすい形に具体化します。また、教育関係者や行政機関、子ども向けのサービスを提供する事業者に対しては、情報提供や注意喚起、サービス設計のあり方などについての提言をまとめる予定です。
※1総務省情報通信政策研究所 未就学児等のICT利活用に係る 保護者の意識に関する調査報告書 概要版(2015年7月)
子どもネット研 第八期活動および体制の概要
第八期活動期間
研究会開催:2016年7月~2017年2月(予定)、報告書公開:2017年3月(予定)
委員(座長以下50音順・敬称略)
坂元 章(お茶の水女子大学 基幹研究院 人間科学系 教授)◎座長
井島 信枝(子どもねっと会議所 代表)
笹井宏益(国立教育政策研究所 総括客員研究員)○座長代理
新谷 珠恵(一般社団法人 東京都小学校PTA協議会相談役)
玉田和恵(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 情報文化学科 教授)
七海 陽(相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科 准教授)
フェロー(50音順・敬称略)
漆 紫穂子(品川女子学院校長)
下田 博次(国立大学法人群馬大学 名誉教授)
竹島 正(川崎市健康福祉局障害保健福祉部担当部長/精神保健福祉センター所長)
アソシエイトフェロー(敬称略)
宮田 佳代子(フリーキャスター/城西国際大学客員教授)
運営事務局
ヤフー株式会社 、ネットスター株式会社、アルプス システム インテグレーション株式会社
#運営協力企業 ピットクルー株式会社
「子どもネット研」について
子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)は、子どもたちのインターネット利用をより豊かで安心なものにするために、諸課題を調査・研究し、保護者や行政・業界関係者向けに整理された情報を提供するために2008年4月に設立された任意団体です。事務局はヤフー株式会社 、ネットスター株式会社およびアルプス システム インテグレーション株式会社が担当しています。
子どもの発達や教育、メディアとの関わりに詳しい学識経験者を中心に、学校関係者や保護者が集まり、これまでに「子どもたちの段階的なインターネット利用デビューのあり方」や「保護者向けの教育啓発のあり方」など調査研究し、その結果を関係者に提言しています。またPTAや地方自治体と協力し、安全利用のための教育啓発活動やその効果測定にも取り組んでいます。