「スマホ育児」の実態と課題を把握するため、未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」を実施
~1歳児の4割、3歳児の6割がスマホなどの機器を利用~
~9割超の保護者は利用に何らかの不安を感じるも、具体的な判断材料は不十分~
子どもたちのインターネット利用について考える研究会(座長:お茶の水女子大学 教授 坂元 章、以下「子どもネット研」)は、第8期活動の一環として、「スマホ育児」の実態と課題把握のため、未就学児の保護者を対象に実施した、「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」の結果の概要を発表いたします。
近年、家庭へのスマートフォンの普及が急速に進んだ結果、未就学の子どもの利用も増えています。保護者からは、もはやスマホは子育てに手放せないという声も聞かれる一方で、いわゆる「スマホ子守り」「スマホ育児」として、その弊害を指摘する声も高まっています。このような状況を受け子どもネット研では、第8期活動として「低年齢の子どもとインターネット」をテーマとした検討を進めていますが、その一環として、未就学児の家庭でのインターネットや情報機器の利用実態や、保護者の意識・知識についての調査を実施いたしました。
今回の調査では、(1)1歳児の4割、3歳児の6割がスマホなどの利用を経験し、その頻度も約5割が「毎日必ず」または「ほぼ毎日」と、スマホなどが未就学児の日常に深く入り込んでいる。(2)7割以上の保護者が自ら「使い方のお手本」を意識している他、6割以上の保護者が「子どもに必要な睡眠の目安やコンテンツとの付き合い方」について大まかには理解している。(3)「子どもに利用させること」について9割以上の保護者が何らかの不安を感じている反面、より具体的な判断材料についての知識・理解は不十分な保護者も少なくなく、保護者の8割以上は学習の必要を感じている。 ことが把握できました。
今回の調査では、「警戒感を持ちつつ手探りで、スマホありの育児をしている」、「子どもの発達・成長について関心・学習意識が高い」保護者が多いことが確かめられました。一方、子どもとメディアの接触や機器利用の影響や望ましい与え方について、不十分な知識・理解のままでスマホなどを使わせている保護者の存在も確認できました。
子どもネット研では、本年3月に本調査も含めた第8期の活動内容を取りまとめた報告書を発表する予定です。スマホなどが普及した育児環境の中での、バランスのとれた機器利用のあり方を、コンテンツとの付き合い方などについての学術的知見や、先進的な取り組みからの知見などを踏まえて取りまとめます。一般の保護者向けには、より使いやすく具体的な「未就学児のネット機器利用チェックリスト」も、当研究会のウェブサイト上で提供する予定です。その他、行政などの関係者向けには、未就学児保護者向けの教育啓発のあり方についての提言を行います。
■調査概要
調査期間:2016年10月21日~2016年10月24日
調査対象:第一子に未就学(0歳から6歳)の子どもをもつ保護者
有効回答数:1149件
調査方法:ウェブアンケート方式(ジャストシステム社(Fastask)に委託)
■調査結果サマリー
(1)1歳児の4割、3歳児の6割がスマホなどの利用を経験し、その頻度も約5割が「毎日必ず」または「ほぼ毎日」と、スマホなどが未就学児の日常に深く入り込んでいる。
本調査では、1歳児の41.8%、3歳児の60.3%、6歳児の74.2%が、スマホなどの情報通信機器を利用することがあるという結果になりました。2015年発表(2015年3月調査)の全国調査※の結果と比較してみると、本調査の方が、0歳児で10ポイント、1~6歳児では20ポイント以上も高く、1年半ほどの短い期間で、利用の低年齢化がさらに進んでいました。利用内容は写真や動画、ゲームに関するものが多く、その頻度も「毎日必ず」(19.9%)や「ほぼ毎日」(30.7%)など、スマホなどの情報通信機器が未就学児の日常生活に深く浸透していることが分かります。
※2015年 未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書 概要版(総務省情報通信政策研究所)「 ■お子様の情報通信端末利用率(保護者が見せたり使わせたりしているものも含む)」の0歳から6歳部分抜粋
**「Qあなたの第一子のお子さんは、下記の機器を利用することがありますか。複数の機器を利用することがある場合は最もよく使う機器をお答えください」で「これらの機器は使っていない/これらの機器が自宅にはない」以外の回答を積み上げたもの
(2)7割以上の保護者が自ら「使い方のお手本」を意識している他、6割以上の保護者が「子どもに必要な睡眠の目安やコンテンツとの付き合い方」について大まかには理解している。
子どものお手本となるように、自身の機器の使い方を気にしている保護者は、「とても気にしている」(21.0%)「まあ気にしている」(53.2%)を合わせ74.2%でした。また、子どもに必要な睡眠時間に年齢ごとの目安が示されていることを「知っていた」とする保護者が60.3%、コンテンツとの接し方として望ましいとされる「子どもと一緒に番組を視聴し、その内容について話し合うことは発達に好影響を与える」についての正答が62.8%など、こうした基本的な知識を大まかには理解できている保護者の割合は6割に達することが分かりました。
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(3)「子どもに利用させること」について9割以上の保護者が何らかの不安を感じている反面、より具体的な判断材料についての知識・理解は不十分な保護者も少なくなく、保護者の8割以上は学習の必要を感じている。
子どもの利用については、ほとんどの保護者から何らかの懸念点が挙がり、「気にしていることは特にない」とする保護者は6.1%に過ぎませんでした。その一方で、保護者が今後学習したい事柄としては、子どもの心身発達や健康などへの影響や使わせ方、早期に使わせるメリットまで幅広い回答が挙がりました。今後の学習については「特に知りたいことはない」とする保護者は12.9%にとどまりました。睡眠のあり方や、コンテンツとの付き合い方については、具体的な行動指針になると誤りやあやふやな回答も見られることから、必要な知識・理解がまだ不十分な保護者が少なくないことが伺われます。
詳細につきましては、下記ページをご覧ください。
- 未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査結果
- プレスリリース「スマホ育児」の実態と課題を把握するため、「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」を実施
(PDF: 614KB)